夏みかん

当地萩では夏ミカンの花が咲き誇っています。
朝窓を開けると”ふっ”と夏みかんの花の匂いが香ってきます。街の中をあるいていてもどこからともなく夏みかんの花の匂いがただよってきます。
初夏の匂い、ミカン科特有の爽やかな香りです。萩に住んでいて良かったなぁ、と思う瞬間でもあります。
この香りのよい夏みかんですが、生薬でもあるんです。使用する部位は果実、未熟なまだ青い果実を乾燥させて用います。生薬名は「枳実:キジツ」といいます。
四逆散や大柴胡湯、排膿散、芎帰調血飲、温胆湯など多くのた処方に配合されています。西洋医学的に効能をみると
1消化促進作用
2鎮咳・去痰作用
3胸腹部緊張緩和作用
ということになりますが、漢方では枳実を”行気薬”といいます。何らかの原因によって動きの悪くなった”気”の働きを調え全身で順調にめぐるようにします。
”気”が停滞すると筋肉においては「痛み・しびれ」、四肢の末端では「冷え」、婦人科系では「生理痛、生理不順」、精神的な部分では「抑鬱状態」、消化器系では「腹部膨満感、腹痛、下痢」といった症状を引き起こしますが、枳実の配合された処方はこれらを改善します。
香りが良い生薬には多かれ少なかれ”気”のめぐりに作用するものが多いです。わが長全堂薬局でもたまに枳実をより細かくしなければならないことがあるのですが、枳実の入った粉砕機の蓋を開けた途端、調剤室に枳実の清々しい香りが充満し「さ、もっと張切って仕事をしよう!!」という気分になるものです。

時間外の電話から

我が家は薬局を午後7時まで営業しているため夕食が遅くなります。その遅い夕食を食べていると携帯電話が鳴り(薬局は24時間対応する義務があり、営業時間外は携帯電話に転送されるのです)出てみると「今から肩を揉んで欲しい!」とのこと。続けて「少し前は左胸元が痛かったが、今は左背中が辛い」とお話しされるご高齢の男性でした。流石に時間も遅かった(午後8時30分頃)ので明日改めて電話をいただけるようお話しして電話をきりました。
翌日改めてお話しをお聞きすると、体全体がしんどい、特に左胸元と背中が辛い。病院では気管支炎の診断されて治療はしている。しかし熱もレントゲン写真などの所見に異常はみられす、医者には”年のせい”と言われるだけで手当てをしてくれる訳でもない。しかし辛いことに変わりなく、途方に暮れて私共の所に電話した次第。
長年漢方相談や鍼灸治療に携わっていて思うのは、お医者様が”ストレス””年のせい””自律神経”という言葉を使って説明するときはたいてい”自分たちには手立てがない”と同義語だということ。検査しても異常は発見できず医者としては「異常ありません」としか言えず、異常がない以上手当ての方法もない。そういう時は私たちの出番です。
先の高齢の男性。お話しをお聞きし、脈も診て心臓の不調の兆候も見られなかったので丁寧にマッサージを施しました。施術中から気持が良くなったのでしょうスースーと寝息をたててお休みになられ、施術終了後表情も明るくなり「楽になりました」と喜んで帰られました。冬の寒さと疲れから身体全体の筋肉が硬くなったいただけのようでした。

漢方薬をお出ししなかった例

最近漢方相談されたのに漢方薬をお出ししなかった方が立て続けにお二人いらっしゃいました。
お二人とも心の病で悩まれて”不眠”を訴えていらっしゃいました。
それぞれの病に至った背景などは異なっておりましたが、共通しているのは病院にかかり適切な西洋薬が処方されており現在快方に向かっている点でした。さらに共通しているのはその西洋薬(心の緊張を解く効果がある)を続けて服用することに抵抗感があるので漢方に切り替えたい、というご希望で来店されたことです。

今現在西洋薬を服用して快方に向かっているのですから、敢えてその方向性を今変更することは危険なことです。特に「うつ症状」を発症している場合は先に西洋薬でひとまず小康を得ることが優先されます。そのうえで西洋薬での治療では改善が遅い、副作用がきつい、などといった場合に漢方薬を併用してゆく、という過程を経るべきです。
そこで先ずは快方に向かっているのですから、今は心配しないで西洋薬を服用して様子をみていただくようにお話してお帰りいただきました。もちろん納得していただいて。

心の病は時間がかかります。漢方薬でうまくコントロールすることも可能な方もいらっしゃるのも事実です。それには漢方相談にたっぷり時間をかけ、とにかくお話をお聞きすることをしなければなりません。その上で身体のどの部分に影響が出ているか考える必要があります。そのうえで漢方薬を決めて服用していただきます。
そして大事なこととにかく来店してお話すること、心の病のお話しである必要はありません。雑談でもいいのです、とにかくお話しすることです。

夜なのにあさイチ〜漢方スペシャル

去る2月25日(土曜日)NHKで「夜なのにあさイチ〜漢方スペシャル」という番組で漢方の特集が放送されました。漢方を生業としている者として見逃せないと思い録画もしてはりきって拝見しました。
見終わってみると??疑問??がいくつか湧き上がってきました。

先ず大きく「何故NHKがこんな漢方の番組を制作したのだろう?」

疑問
何故漢方の基本原理の”陰陽・虚実”について一言も触れていないのでしょう?

疑問
番組の中で補中益気湯や四逆散、五苓散といった処方を運用されているところがありましたが、これらの処方を運用する根拠・理由について一切説明がない。

疑問
古方派と言われる日本漢方が独自の発展を遂げてきたことに異論はありませんが、その日本漢方を守り続けてきたのは市井の薬剤師が中心ではなかったか?そのことには一切触れず、司会の有働アナウンサンーは過去に高価な漢方薬を買わされたとまるで薬局を悪者にするかのような発言があった、何故?

疑問
漢方薬には副作用が少ないのは事実ですが、注意を要する処方は多くあります。補中益気湯もその一つで証の合わない方が服用すると血圧をあげてしまいます。

番組の中で認知症の治療に抑肝散を紹介していました。漢方を生業とする者にとって
「抑肝散は認知症の治療に用いられるが、認知症の治療薬は抑肝散だけではない!」
ことは常識ですが、この点の説明・解説がない、何故?

要するにこの番組はNHKによる医師の漢方を賛美する内容になっているように思いました。
見ていてストレスが溜まる番組です。

そうじゃないよ!!  って叫びたい!!

副作用

30代前半の女性、最初来店された時吹き出物で困っていました。
その後色々と体調が変わりここ2年くらいは夜間に発作が起こる喘息対策を中心に漢方薬で対応していました。
服用しているのは補腎と疏肝作用の煎じ薬。

今年に入り、それまでたまに出来ていたニキビの跡の色素沈着が気になり出したので対策を講じるよう希望があったので処方を一部変更してご用意しました。
本日相談のため再び来店されておっしゃるには、新たにニキビが発生するとのこと。処方を変更したことが仇になったようです。一旦前の処方に戻して服用していただくようにしました。

今回の相談ではお話を伺っていて大変興味深い表現がありました。

今年に入って処方を変更した煎じ薬ははとても苦く不味かった、と。
それまでの煎じ薬は苦いけれど不快ではなかった、効くと思えば美味しくさえ思えた。

この感想は漢方薬の面白い一面です。どんなに苦く不味い漢方薬(煎じ薬)であってもその人にぴたりと合った処方であれば服用に問題は生じません。
ところが六君子湯のように甘く服用しやすい処方でも、証の合わない人が服用すると胃もたれのような不快感を生じたり、ときに下痢をしたり副作用が出ます。

漢方薬、特に煎じ薬は証の合わないk方が服用すると副作用が出ます。今回改めてこのことを認識させられたできごとでした。
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Author:せんじぐすり
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